「自動翻訳にかけてもいいから」昨今ビジネスの現場でたびたび見かけるようになったこんな会話。もはやAIがあれば外国語を勉強する必要はないのか。近刊『ChatGPT「超」勉強法』が話題の野口悠紀雄さんは「ChatGPTの用途で最も多いのは外国文献の翻訳と要約だ。だが、それは外国語の勉強が不要になったことを意味してはいない」という――。(第6回/全6回)

※本稿は、野口悠紀雄『ChatGPT「超」勉強法』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

ChatGPTによる翻訳と要約の組み合わせは非常に便利

テキストファイルになっている文献であれば、Google翻訳などの自動翻訳にかけて、外国語の文献を日本語に直したり、日本語の文献を外国語に直したりすることが容易にできる。少なくとも主要言語間の翻訳については、ほぼ実用レベルになっている。

検索で表示される外国語(とくに英語)の文献は、翻訳サービスを経由せずに、直接に日本語訳を見られるようになっているものが多い。

ChatGPTは、こうしたことに加えて要約もできるので、翻訳と組み合わせれば、外国語の文献を読むのが著しく容易になる。これまでは、重要な文献であっても、外国語であるというだけの理由で敬遠する人が多かった。ChatGPTはこうした状況を大きく変えるだろう。

私は2023年9月にnoteにおいて、ChatGPTの利用方法を尋ねるアンケートを行なったのだが、「外国文献の翻訳と要約」という用途が最も多かった(*)

生成系AIに関するアンケート調査結果:第一次集計。

旅行先で翻訳アプリを使用する人
写真=iStock.com/SolStock
※写真はイメージです

ChatGPT時代に外国語の勉強は必要か?

ついこの間まで、外国語を勉強する必要性は自明のことだった。なぜ必要かを、わざわざ説明する必要はなかった。ところが、自動翻訳が発達して事態が変化した。外国語を使えることが本当に必要なのかどうかについて、疑問が生じたのだ。

そして、ChatGPTによって翻訳が著しく簡単になったので、「人間が外国語を理解しなくてもよいのではないか?」という疑問は、現実的なものとなった。

ChatGPTがきわめて精度の高い翻訳や即時通訳のサービスを提供してくれるのであれば、それを利用すればよいのであって、苦労して外国語を勉強する必要はなくなったように思える。

しかし、私は、外国語を勉強する必要性はなくなっていないと考える。その理由は、2つある。第1は、自動翻訳を介するより、人間同士の直接のコミュニケーションが望ましいからだ。

直接のコミュニケーションの必要性は、いくらAIが進歩してもなくならない。第2は、文化的多様性の維持のためだ。

これらについて、以下に述べるとしよう。

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