人間関係の豊かな人と貧しい人は何が違うか。昭和女子大学総長の坂東眞理子さんは「相手に遠慮している人の人間関係は貧しくなり、孤立していく。私も年を取って少し経験を積んだ結果、相手にどう思われるか迷ったり、遠慮したりせず、自分がいってあげたいことは伝えるほうがよいと考えるようになると、とても気持ちがラクになった」という――。

※本稿は、坂東眞理子『与える人 「小さな利他」で幸福の種をまく』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

手を繋ぐスーツを着たビジネスパーソンの人々
写真=iStock.com/NanoStockk
※写真はイメージです

礼儀としての言葉のやりとりと心底からの感謝

ほとんどの人は褒められたり、尊重されたり、共感してもらったりすると、うれしい気持ちになります。それは「自分が大事にされている」ことを実感するからです。

じつは、私は若いころは自分のことにせいいっぱいで、周囲の人に感謝する余裕がありませんでした。勉強する機会を与えてくれた親や、教えてくれた先生のおかげとは想像することができませんでした。

「合格してよかったね」といわれたら「ありがとうございます」と返していましたが、それは礼儀としての言葉のやりとりで、心底から感謝していませんでした(ごめんなさい)。でもその後、人生経験を積むうちに価値観が変わりました。人間として成長したのです。

すばらしい成果が上がると期待してやったのにうまくいかないことも、苦労して成し遂げても評価されない経験もしました。信頼して助けをあてにもしていた人は、いざというときに助けてくれないこともありました。

たとえば、長い時間をかけて本を書いて、自分ではなかなかよいできだと思っていたのに、あまり読んでもらえないこともあります。

職場で自分では頑張って成果を上げているつもりなのに、相手には目ざわりだと思われて、うとまれることもありました。