4月に入社した新入社員が5月には各部署に配属され、OJTが始まる。今年の新入社員はどのような特徴があるのか。人事ジャーナリストの溝上憲文さんが、新人研修期間中に起きた出来事を取材した――。
新入社員
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今年の新入社員は「新NISAタイプ」

新入社員が入社して1カ月が経過した。新入社員研修を終えて、5月から配属先でのOJT(職場内教育)が始まる。最近は新入社員の早期離職だけではなく、退職代行会社を使って退職届を出す新入社員もいることがメディアで話題となっているが、企業側も離職しないように相当気を遣っているようだ。

しかし、今年の新入社員は一筋縄でいかない特徴を持っている。産労総合研究所が発表した2024年度の新入社員のタイプは「セレクト上手な新NISAタイプ」と命名している。その特徴として「デジタルに慣れ親しんでいる一方で、対面コミュニケーションの経験に乏しく、『仲間』以外の世代との距離感に戸惑う面もある。また、タイパを重視し、唯一の正解を求める傾向が年々増している」と分析している。

タイムパフォーマンス(時間対効果)に敏感な一方で、正解探しの傾向が強いというのは、正解がないビジネスの世界に生きる企業としてはちょっと引いてしまう印象を受ける。長所として「目標とする未来が定まれば、彼らは自分なりに情報を集め、『セレクト』して歩き始める」と分析しているが、今の会社に合わないと判断すればさっさと見切りをつけて転職してしまいそうな危惧も覚える。

指示してくれないと動けない

対面コミュニケーションに乏しく、仲間以外の世代との距離感に戸惑うというのも気になる。大学でキャリア教育の講師も務める文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の平野恵子所長はこう語る。

「大学に入学した当初からコロナが蔓延し、キャンパスにも入れず、講義もオンライン。当然、サークル活動やアルバイト経験も少ない。大学入学2年目までの講義は申告した上で席に座り、感染者が発生したら周りの学生も休ませるという大学の厳しい管理下で大学生活を送った。そのため人の言うことはよく聞く謙虚さや素直さがあり、指示されることに慣れている。というより指示されるのが当たり前で、逆に指示してくれないと動けないのは当然という感覚を持っている」

高校でも管理され、本来は自由な大学生活を謳歌できると思ったが、それができなかった世代でもある。