1.お金の哲学

お金は漫然と使わない。何のために使うかいちいち考える

コンビニでお菓子をつい買ってしまう。セール品に飛びつく。これらは、お金が貯まらない人の典型的な行動パターンだという。

「お金持ちは漫然とお金を使うことはしません。欲しいものでなく、必要なものを選んで、戦略的にお金を使っています」

身につけたいのは、なぜ買うのかを考える習慣だ。たとえ100円のものでも、買う理由を考えて、明確な目的がある場合にだけお金を使うようにする。いちいち考えるのは面倒かもしれないが、この習慣が身につくと、無駄遣いが減ってお金が貯まりやすくなるのである。

「支出では消費より投資の割合を増やすことも大切です。消費とは、今必要な事柄を満たすための出費。満足感や快感を得るためのお金も消費に分類されます。対して、投資は将来お金を生み出すための支出。大事なプレゼンのときに着る勝負服、講座の受講費などは投資になります」

モノの価値を客観的に判断する力も、ミリオネアには欠かせない。原価や利益率はどのくらいか、なぜその値段がつくのかなど投資家目線で見ると、価格の妥当性がわかり、コストパフォーマンスのよい買い物ができるようになる。

「お金持ちは値段の変動にも敏感です。スーパーの目玉商品には、通常価格と変わらないものが紛れ込んでいたりしますよね。普段から値動きを気にする癖があると、本当の目玉商品が見極められる。家電や家具など値がはる買い物をするときも、リーズナブルに買うことができます」

もちろん、貯蓄には収支の把握も欠かせないが、「家計簿はつけなくていい」と加谷さんは言う。

「お金との付き合い方がうまい人は、たいていがドンブリ勘定。1円単位の細かい数字より、収入、税金、保険料、光熱費などを大まかに把握していることのほうが重要だからです」

たとえば、毎月の食費が3万円程度とわかっていれば、上回ったときにすぐ気づくことができ、改善しようという意識が働く。企業でも優秀な経営者は、細かい数字を気にしない傾向があるそうだ。

毎月の出費の概算を把握するためのツールとして、家計簿代わりに加谷さんが薦めるのは電子マネーだ。

「電子マネーは使った金額が自動的にリスト化されるので、無駄遣いの抑止力になります。エクセルにダウンロードできるものを選べば、項目で並べ替えができて大枠の数字もつかみやすい。家計簿のようにレシートを見ながら記入して計算する必要がないから、時間の浪費を防ぐことにもつながります」