22名のうち17名が既婚者

共学の女子学生が、自分たちの大学にあるインカレから締め出され、それに抗議しているという話を聞くが、少なくとも、女子大の学生のように、男子学生に求められている体験をすることはないだろう。

一度、日本女子大で教えていたときに、ゼミの学生に、大学を卒業して10年になる先輩たちの生活について郵送で調べさせたことがあった。回答があった22名のうち17名が既婚者で、結婚相手としてもっとも多かったのが早稲田で4名もいた。東大や東工大、慶應もいて、理科系という場合が多かった。

偏差値的に言えば、結婚相手の出身大学の方が高い。そうした大学に落ちて日本女子大に入ってきた学生も少なくない。この点に女子大のメリットを見出している学生も少なくないだろう。それに、女子大の卒業生であれば、相手の親に反対されることもない。

空を見上げる女子大の仲間たち
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毎日が「女子会」の世界

女子大は就職に有利というのはよく言われることだが、大学では女子ばかりなので、何でも自分たちでやらなければならないことが影響している可能性はある。男子学生がいると、リーダーシップは男子がとり、女子は一歩引いてしまう傾向がある。その点で、女子大の学生は、男子の前でも引いた立場をとることがない。それは、仕事をする上では重要なことではないだろうか。

卒業生を調査した日本女子大のゼミには、曾祖母から4代続けて日本女子大だという学生もいた。東京女子大では、私は哲学専攻に所属していたが、姉妹で同じ専攻という学生もいた。

共学から女子大に進学した学生は、最初は戸惑うが、すぐに馴染んでしまうらしい。「女子会」が流行っているが、女子大というのは毎日が女子会の世界なのかもしれない。男性にとっては、ちょっとうらやましい話である。

島田 裕巳(しまだ・ひろみ)
宗教学者、作家

放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、同客員研究員を歴任。『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)、『教養としての世界宗教史』(宝島社)、『宗教別おもてなしマニュアル』(中公新書ラクレ)、『新宗教 戦後政争史』(朝日新書)など著書多数。