視聴率推移での差

以上は序盤3カ月の平均視聴率での比較。

これを同期間の視聴率の変動でみると、両ドラマについて別の側面が浮かび上がる。

【図表】2つの大河ドラマ序盤の視聴率推移
スイッチメディア「TVAL」データから作成

最初に個人全体の視聴率で比べてみよう。

高く始まった「どうする家康」は当初3~4回で2割以上の視聴者を失った。そして当初3カ月での下落幅は3割5分に達した。これに対して「光る君へ」はほぼ横ばいで推移した。大健闘と言えよう。

ただし去年3月12日の第10回は例外だ。

WBCの日本代表対オーストラリア戦の影響だったが、それを考慮しても「どうする家康」の脱落者は多かった。弱々しい家康を主人公にしたために、偉人や武将を描いた伝統的な大河ドラマのファンが敬遠したのが大きかった。中高年の男たちが、視聴率全体を大きく左右したと言えよう。

次にF2(女性35~49歳)に注目してみよう。

個人全体と同様に、「どうする家康」は当初3~4回で2割前後を失い、3カ月間では半分近くまで下落した。

この層には松潤ファンもけっこういたと思われるが、格好悪い松潤を見たくないと思った人も少なくなかったようだ。

一方「光る君へ」は逆だ。

当初3~4回で逆に3割ほど上昇し、その後は微減と踏ん張った。F1(女性20~34歳)も堅調で、千年以上前の紫式部の生き方に、同世代の女性は共感していた可能性が高い。

このあたりの事情はSNSにも表れた。

特に女性による発信と思われるつぶやきは、視聴データの動向を象徴している。

「やっぱ女性向け大河やな。私は毎週楽しみ」

「もうホントこの大河ヤバい。誰だよ、歌だ恋だのなよなよした退屈な大河とか言ってたの。何かとハラハラしっぱなし」

「こんなにも美しい展開と、こんなにも残虐な展開が45分の中で怒涛のように繰り広げられるって傑作すぎる」