株価を見て「バブルの再来」と判断するのは安直すぎる

つまり、バブル期と今の株価を比べることに何の意味があるのかということです。1989年には4万円に届いていなかったのに今は超えた、バブルの再来だと騒ぐのではなく、その4万円という数字にどんな意味があるのかを考えたほうがいいと思うんですよ。

株価だけ見て騒ぐのは、たとえば体重が80kgだと聞いただけで、その人の身長も知らずに太っていると思い込むようなものです。身長が160cmぐらいならそうかもしれませんが、190cmなら80kgは適正体重の範囲内。体重だけをもとに太っているかどうかを判断したところで、まったく意味がないですよね。

体重80kgが今の株価4万に当たるとすると、身長に当たるのは企業の1株あたりの純利益で、先ほどのPERも前者を後者で割って算出されています。で、企業の純利益はバブル期より今のほうが格段に額が大きくなっている。割り算の分母に当たる「企業の稼ぐ力」がぐんと上がっているわけです。

だから、株価だけを見てバブルの再来だ、もうすぐはじけるぞというのは的外れだと感じますね。経済分析を専門とする人たちが「株価が4万円を超えたからバブルだ」と言っているのを見ると、正直、プロとして判断が甘すぎるな、専門家がそんなレベルで話をしたらダメでしょって思ってしまいます。

新NISA最大のメリット

「新NISAは危ないからやるな」という意見に反論したところで、じゃあどんなメリットがあるのかという話もしたいと思います。新NISAの最大のメリットは、運用益や配当金、分配金がずっと非課税であること。投資では基本的に儲けた分の約20%が税金として持っていかれますが、新NISAはこれがゼロです。いわば国が認めた合法的な脱税みたいなものですね。

さらに、新NISAは旧NISAに比べてかなり使いやすくなっています。年間に投資して非課税になる額の上限が360万円に上がり、非課税のまま保有できる期間も無期限になりました。以前は、期間が終了したら保有資産をどうするか考えて、それに応じた手続きをしなければなりませんでしたが、そうした面倒が一切なくなりました。

また、投資枠の再利用ができるようになったことで「途中で取り崩すともうその枠が使えなくなる」という心配も不要になりました。

新NISAは投資にまつわる面倒くささや不安などをできる限り省いた設計になっているといえます。旧NISAを使っていた人から「使いにくい」と思われていた点が、しっかり改善されている。金融庁がそうした声をきちんと拾ったんだろうと思います。

洗濯バサミでつるされた「NISA」の文字
写真=iStock.com/bee32
※写真はイメージです