最小リスクで資産を増やすにはどうすればいいのか。数量政策学者・元内閣官房参与の髙橋洋一さんは「株式投資は、数学と経済の知識があって将来を見通せる人でないと利益を得るのは難しい。私がお勧めするのは、個人向け国債の変動金利型10年満期だ」という――。

※本稿は、髙橋洋一『60歳からの知っておくべき経済学』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。

成長グラフ
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安定した利回り、元本割れリスクなし

国債を保有している高齢者は多いといわれており、関心の高い読者もいるだろう。金融機関が積極的に売り出さないほど、利回りの安定した金融商品、それが国債だ。しかも、途中で換金できるうえ、元本割れのリスクも基本的にないというメリットがある。

個人が買える国債には、大きく二種類ある。「個人向け国債」と「新型窓口販売方式国債」(新窓販国債)だ。それぞれ、償還期限や受け取る利息などによって、さらにいくつかに分かれている。

個人向け国債には、「固定金利型3年満期」「固定金利型5年満期」「変動金利型10年満期」がある。固定金利型では、満期までの間は利率が変わらないため、発行段階でもらえる利息を把握できる。一方、変動金利型は、需要と供給の実勢に応じて半年ごとに適用利率が変動し、受け取る利息が増減する。

「新窓販」ならいつでも売却できる

新窓販国債には、「2年固定利付国債」「5年固定利付国債」「10年固定利付国債」がある。こちらは、財務省が市場実勢に基づき金利を決定するという特徴がある。

ほかにも、個人向け国債は「1年経過ルール」というものがあり、発行から1年を経過するまでは換金できない。一方、新窓販国債にはこのルールがなく、購入後はいつでも売却できるという違いがある。

どれがいいか迷ったときは、現在の低金利の状況を考えると、個人向け国債の変動金利型10年満期がお勧めだ。10年満期と謳っているが、実際には満期の前に売却・換金ができるため、10年という区切りにあまり意味はない。重要なのは「変動金利」という部分で、景気が良くなれば金利が上昇し、悪くなれば下落する。

といっても、国債の金利を頻繫に変更すると利払い計算が大変だから、変動金利型10年満期は半年ごとに金利が変わるように設計されている。これは、半年満期の短期国債を10年間、20回乗り換えていくことと同じだ。