じゃがいもは天然毒素を含んでいる

有名な例は、じゃがいもに含まれるソラニンやチャコニンなどの天然毒素。まとめて「グリコアルカロイド」と呼ばれています。芽や緑色になった皮に多く含まれますが、人がイモとして食べる髄質部も、含有量はゼロではありません。

【図表2】ジャガイモに含まれる天然毒素
出典:農林水産省資料

グリコアルカロイドを摂取して食中毒症状が出る可能性がある量は、FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)合同の食品添加物専門家会議(JECFA)の評価によれば、体重1kgあたり1mg以上の摂取。体重1kgあたり3~6mg以上を摂取すると死ぬ可能性があるとしています。

ということは、体重60kgの成人で症状が出る可能性があるのは、60mg以上のグリコアルカロイドを食べる場合。図表2から換算すると、成人が通常のじゃがいもを皮ごと、600〜700g程度食べると食中毒になるかもしれない……ということなのです。

小学校で食中毒事故が起きてしまう理由

皮付きじゃがいもを調理したフライドポテトなら、100〜200g程度はすぐ食べられる、という人も少なくないのでは? グリコアルカロイドは、加熱では毒性は減りません。つまり、普段食べる量と食中毒になる量はそれほど大きくは離れていません。これが、安全マージンが小さい、という意味です。

グリコアルカロイドは、成人よりも子どものほうが感受性が高く、体重1kgあたりでもっと少ない量により食中毒になると考えられています。農林水産省によれば、小学生が体重1kgあたり0.16~1.1mgのグリコアルカロイドの摂取で食中毒になった事例もあるそうです。

しかも、子どもはじゃがいもをよく食べます。そのため、小学校でじゃがいもの食中毒事故がしばしば起きています。小学生が授業でじゃがいもを栽培し、未熟だったり日があたって緑色になったいもを収穫して食べて、中毒になるのです。厚生労働省や農林水産省が授業でのじゃがいも栽培について注意喚起しています。