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「お金持ちになれなくてもいい。ただ、お金に悩まない楽しい人生を送りたい」——。そんな願いを抱くプレジデントグロース編集部員が、金融機関の「中の人」・花村泰廣さんにガチ相談! 初心者にも分かりやすく、投資の質問にホンネで答えます。第6回のテーマは「株価はどうやって決まるのか」。

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花村泰廣(はなむら・やすひろ)

アセットマネジメントOne 未来をはぐくむ研究所 主席研究員。2006年から投資信託の商品開発、パンフレット制作、各種シミュレーション・ツールの開発などを担当し、約40年近く一貫して投資関連業務に携わる。好きな相場格言は「谷深ければ、山高し」。

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プレジデントグロース編集S

30代前半の女性。新NISAブームに乗ってNISA口座を開設した。とりあえず人気銘柄を選んだが、将来の目標金額も、何のために投資をしているのかも漠然としており、今後の投資スタイルに悩んでいる。好きな金融用語はインカムゲイン。

株を買いたい人、売りたい人の正体

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株に興味が湧いてから、日々の値動きをチェックするようになりました。でも、正直なところ、画面に出ている数字がなぜ上がったり下がったりするのか、まだよく分かっていません。株価は、どのように決まっているんですか?

株価の決定要因は、大きく分けると3つあります。企業業績、金利、需給です。個別の企業を見るときは、まず業績が重要になります。売り上げや利益が伸びる企業であれば、将来の価値が高まると期待されやすいからです。

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ただし、株価は業績だけで動くわけではありません。相場全体の短期的な動きは需給に左右されやすく、長期的な流れには金利も大きく影響します。金利が上がると、企業の借り入れコストが増えたり、個人の消費や投資にブレーキがかかったりすることがあるため、株式市場にとっては株価を押し下げる要因になることがあります。

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業績と金利はお金に関することなのでなんとなく理解できます。分かりにくいのは、需給です。たとえば物なら、欲しい人が多ければ売れるし、少なければ余る。株の場合は、誰が何を見て「欲しい」「いらない」と判断しているんでしょうか。

そこは、個人投資家と機関投資家、海外投資家では見方が異なります。短期的な値動きでは、機関投資家や海外投資家、ヘッジファンドのように大きな資金を動かす投資家の影響がかなり大きい。彼らは常に、どの国、どの市場、どの銘柄にどれだけ資金を配分するかを見直しているからです。その企業の業績が伸びそうだ、今の株価は将来価値に比べて割安だ、とみられれば、個別の銘柄にも買い需要が集まりやすくなります。

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大口投資家が相場を動かしているのであれば、個人投資家の売買は相場にあまり影響しないということですか?

短期的な値動きへの影響という意味では、確かに大口投資家の影響は大きいでしょう。大口投資家は上昇局面では買い、下落局面では売るといったトレンドフォローの動きをとることが多いです。

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一方、個人投資家は長期目線で投資する人が多く、株価が上昇したら利益確定をするために売り、下落したら買い増しのチャンスと考える傾向があるため、両者は逆の売買行動になることがあります。つまり、投資家によって短期と長期では視点が違うことで、需給をつくる主体や動き方が異なるのです。

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もちろん逆張りの得意な大口投資家もいますし、順張りで短期売買を繰り返す個人投資家もいます。一般的に逆張りの投資家を「コントラリアン」、順張りの投資家を「トレンドフォロワー」と呼びます。

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株の需給は投資家によって異なる
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株価は、企業の成績表のようなものだと思っていました。実際には「誰が、どんな事情で売買しているか」もかなり関係しているんですね。

そうですね。ただ、個別株をきちんと見るなら、やはり企業の業績や将来性を見ることが基本です。たとえば運用会社には、個別株を分析するアナリストのチームがあります。アナリストは、決算、事業環境、競合、商品やサービスの販売状況を判断の材料にします。また、時には個別に企業訪問を行い、経営者から今後の事業計画やビジョンを聞き、将来の業績を予想することもあります。そうした分析をファンドマネージャーと共有しながら、投資判断につなげていくわけです。

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そして、将来の業績を予想する際、現在の価値に直すとこの企業の株価は本来これくらいが妥当ではないか、という水準を考えるのですが、これを「フェアバリュー」と言います

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フェアバリュー、初めて聞きました。

導き出したフェアバリューが1万円だとして、現在の株価が5000円の場合は、2倍になる可能性があるということで多少の値上がりがあっても保有するという判断ができます。

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つまり、お買い得な株というのは、単に株価が安い株ではなく、フェアバリューに対して割安だと考えられる株なんですね。

そうです。現在の株価がフェアバリューよりかなり下回っていれば、割安と判断される可能性があります。ただし、フェアバリューは誰が計算しても同じになるわけではありません。同じ企業でも、あるアナリストは1万円が妥当だと考え、別のアナリストは8000円、また別の人は1万2000円とみるかもしれない。見方が違うからこそ、市場で売りたい人と買いたい人が生まれ、価格が形成されていきます。

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そうすると、証券会社ごとのアナリストの力量が測られますね。

そうなんです! 経営者やIR担当者が話す内容の裏取りをするために、その企業だけでなく競合や取引先に取材に行く、時にはその企業の商品を実際に使う、フィールドリサーチをするなど、より高いレベルの情報を得ることができるアナリストは優れているといえるでしょう。

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株価上昇の兆しを見つける意外な視点とは

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では、私のように金融のプロではない人間でも情報を取りにいったり、値上がりの兆しを見つけたりする方法はありますか?

あります。おすすめは、企業の決算発表やIR資料を参考にすることです。企業のホームページに決算発表が出ていることも多いですし、IRイベントで説明を聞ける場合もあります。

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そして、これらの資料に出ている数字を見るのも重要ですが、もう一つ意識しておくべきことがあります。それは、決算発表後に株価がどう反応したかです。

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決算の数字が市場の予想に対して上振れたのか、下振れたのか。良い決算でも、すでに市場が予想して株価に織り込まれていれば株価はあまり動かないことがあります。逆に、市場が予想していなかったような数字が出れば、株価が大きく動くこともあります。

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今まではまったく意識していなかった視点です!

さらに、その上振れが一時的なものなのか、製品やサービスの需要拡大や事業の成長に裏付けられたものなのかを見分けることも大切です。金融政策や財政政策、選挙などのイベントも、投資家心理や企業業績の見通しを通じて株価に影響することがあります。ただ、個人投資家はすべてを追いかける必要はありません。まずは、自分が投資している企業や関心のある企業を追っていくところから始めるとよいでしょう。

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電子化されても、株取引の原則は変わらない

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もう一つ聞きたいのですが、私たちはスマホで簡単に売買ボタンを押せますよね。その裏側では何が起きているのでしょうか。画面上の数字だけを見ていると、取引されている実感があまりなくて。

かつては証券取引所に「立会場(たちあいじょう)」と呼ばれる取引の場があり、証券会社の担当者が取引所の職員がいるブースに向かってハンドサインを送り、売買を成立させていたんですよ。

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1日の注文をすべてリアルで!?

当時は取引量が少なかったので処理が可能でした。買い注文が殺到して盛り上がることもあれば、売り注文ばかりで閑散とすることもあり、相場の勢いを肌で感じられる場味(ばあじ)がありましたね。

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とはいえ、電子化されても流れは同じです。投資家がスマホやパソコンで注文を出すと、その情報が証券会社のシステムで処理され、取引所に送られます。

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また、取引の原則も変わっていません。取引所では、「価格優先・時間優先の原則」に基づいて、自動的に売買が成立していきます。売りたい場合は、より安い価格の注文が優先されます。買いたい場合は、より高い価格の注文が優先されます。また、同じ価格なら先に出された注文が優先されます。

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株取引の奥にあるものが少し見えてきた気がします。これまで株価を「上がった」「下がった」だけで見ていましたが、その背景に何があるのかを考えると判断材料が増えますね。

そうですね。株価はただ勝手に動いている数字ではありません。企業の業績や金利、需給、投資家の期待、そして取引所の仕組みが重なって形成されているのです。

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そして、電子化によって取引量が大幅に増え、市場の流動性も高まりました。売買が成立しやすくなり、市場の厚みが増したことは参加者にとっては大きなメリットだと思います。

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私も電子化の恩恵を受けているんですね。でも、昔の市場の場味も感じてみたかったな。

(構成=吉田彩乃、写真=市来朋久)