「骨太の方針2026」は宝の山! 杉村太蔵流・日本株の勝ち筋

元国会議員でタレントの杉村太蔵さんは、株式投資で資産を増やし、その金額は今や1億円以上にのぼるという「投資家」の顔も持つ。その投資戦略は「骨太の方針」という“神資料”を読み込むところから始まるという。杉村さんに骨太の方針の読み解き方を聞いた。

衆議院解散で投資判断、2600万円の利益をあげた

私は、議員になってすぐの2008年に初めて証券会社で口座を開きましたが、本格的に株式投資を始めたのは、国会議員を辞めてからのことです。

2012年11月、民主党の野田佳彦首相が衆議院を解散しました。私は、解散総選挙で自民党が勝って安倍政権が誕生すれば株価が上がるだろうと予想して、家中のお金をかき集めて株式に投資しました。

その後、第2次安倍内閣が発足し、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」という「3本の矢」を打ち出しました。いわゆる「アベノミクス」の始まりです。野田政権時代に8000円台だった日経平均株価は、2013年5月には1万4500円を超えています。結局この年は1年間で約2600万円の利益を出すことができました。

なぜそれができたのか。私は26歳の時、最年少で国会議員になりましたが、そこで学んだのが「この国には、お金の流れの法則がある」ということでした。そして、その法則の根幹を成すのが、各政権が出している「骨太の方針」です。

なぜなら、各省庁は骨太の方針で出された方向性に沿って予算を要求しますし、政府もこの方向性に沿って税制などでの経済を後押しします。すると、企業もそれに呼応して投資を拡大します。それが、この国のお金の流れの法則なのです。それに気付いたことが「投資家・杉村太蔵」の土台になっています。

杉村太蔵(すぎむら・たいぞう)
杉村太蔵(すぎむら・たいぞう)
元衆議院議員
1979年生まれ、北海道旭川市出身。筑波大学中退後、清掃員の派遣社員から外資系証券会社に勤務。2005年9月の衆院選にて自民党公認で最年少当選を果たし、厚生労働委員会などで若年者雇用の改善等に尽力。任期満了後はタレントへと転身し、情報・バラエティー番組でコメンテーターとして活躍。また、慶應義塾大学大学院を修了(所定単位取得退学)したほか、実業家・投資家として地方創生事業を展開するなど、多方面で精力的に活動している。近著『杉村太蔵の推し株「骨太」投資術』がベストセラーに。私生活では3児の父。

全ビジネスパーソンが熟読すべき“神資料”

高市早苗政権は、7月21日に「骨太の方針2026」(経済財政運営と改革の基本方針2026)を閣議決定しました。私はこれを全ビジネスパーソンが熟読すべき資料だと考えています。

好き嫌いを別にして、今の日本の経済政策に最も影響力、決定権を持っているのは日本の総理大臣である高市さんです。そして、その人の考え方が端的に表現されているのが、この骨太の方針です。しかも、これに基づいて予算が決まるので、書かれたことは実現する可能性が高い。特に今回の骨太の方針は、中長期の投資を考えている個人投資家には欠かせない内容になっています。

骨太の方針2026では、今まで諸外国と比べて日本の潜在成長率が著しく低いままだったのは、圧倒的に投資が足りなかったからであり、その原因は、政府の「財政単年度主義」にあったと明確に指摘しています。今年度政府の予算がついても、来年度はどうなるかわからないという状態だと、民間企業は安心して投資できません。しかし骨太の方針2026では、この弊害を是正するため、政府が複数年度にわたる予算措置を講じることによって、民間企業の「予見可能性」を高めて、投資を引き出そうとしています。これは、コペルニクス的転回です。

この“神資料”に書かれた投資先分野は、これからの日本の「勝ち筋」であり、中長期的に政府や民間の大型投資が行われる分野だといえます。個人投資家の私たちが、そこに乗らない手はありません。

全ビジネスパーソンが熟読すべき“神資料”

太蔵流“神資料”の使い倒し方

では、この“神資料”の使い方です。

まず、内閣官房ホームページの日本成長戦略本部/日本成長戦略会議のページにある「戦略17分野における『主要な製品・技術等』の官民投資ロードマップ 参考資料」2ページ目の一覧表を印刷してください。普通に印刷するとA4サイズなので、A3サイズに拡大するといいと思います。ぜひ、家の冷蔵庫やトイレの壁に張ってください。

骨太の方針2026には、2040年度までに370兆円超を、17の戦略分野と62の主要な製品・技術等に投じるというロードマップが描かれています。この表は、その戦略分野、製品・技術等の一覧表です。これを見て、「おもしろそう」「興味がある」と思う項目をいくつかピックアップしてください。それらを手掛ける上場企業が、あなたの投資先候補になります。

気になる項目がたくさんあった場合は、さらに、「官民投資額」の欄を見てください。多くは「2040年度まで」ですが、中には「2033年度まで」「2035年度まで」と、前倒しになっているものがあります。さらに、金額も突出して大きいものがあります。これらは、政府が重点を置いて、投資を加速化しようとするものです。

例えば「コンテンツ」分野の「①ゲーム」を見ると、「2033年度までで24.5兆円」と、期限が前倒しになっているうえに金額も大きい。政府がゲーム産業に対して寄せている期待の大きさを表していると考えられます。

食いっぱぐれない業界・分野はどれか

この“神資料”が活用できるのは、株式投資だけではありません。

例えば、一番上に書かれている「①フィジカルAI(特にAIロボット)」に着目してみましょう。それぞれの製品・技術等の詳細が書かれた、「戦略17分野における『主要な製品・技術等』の官民投資ロードマップ」を参照すると、7ページの「(1)投資促進に向けた課題」の欄に「AIとロボット双方の知見を有する開発・利活用人材の不足」とあります。日本ではこうした人材が不足しており、それが成長の足かせになっているわけです。そして、日本は今後、こうした人材の育成に力を入れると宣言しています。これはつまり、AI(人工知能)とロボット双方の知見を持てば、今後少なくとも2040年度までは食いっぱぐれることはないだろうということを示しています。

もしあなたのご子息やご息女で、将来どんな道に進みたいかわからない場合は、この62項目の中から専門分野を見つけるよう促してみるのもいいかもしれません。ビジネスパーソンとしての自分自身の強み、経営者としての自社の強みをどう磨けばいいかという方向性を定める指針にもなるでしょう。

積立投資は「投資」ではない

なぜ私がこうして骨太の方針を活用した投資を激推ししているのか。それは、みなさんに「推し株」に「投資」してもらうことで、日本をよくし、さらにご自身にも豊かになってほしいと思っているからです。

私は「『投資』と『資産形成』は違う」と考えています。

多くの人は「資産形成」に関心をお持ちでしょう。新NISAを活用し、価格が高いときにも安いときにも一定額でオルカンやS&P500などを買う、積み立て投資をしているかもしれません。ただそれは、10年後に評価額が2倍になったりするとは考えにくい。積み立て“投資”と言っていますが、実際は“投資”とは言い難いのではないかと思います。

私が考える投資と資産形成は、目的が違います。資産形成は「自分のため」であり、自分の将来や老後に備えて資産を作る行為であり、貯蓄とほぼ同じです。一方投資は、特定の企業を応援することで社会をよりよくすることを目的としています。「今の社会課題を解決するためには、この企業に頑張ってほしい」という視点で投資先を選び、株を買ってその企業を“推す”行為です。そうやって「推し株」に投資すると、将来はその資金を社会課題の解決に活用してくれるので、評価額も大きく上がり、世の中を大きく変革する可能性を秘めています。

私は資産形成を否定しているわけではなく、この2つが「違う」ことを知った上で、もっと「推し株への投資」をしてほしいと考えています。

骨太の方針2026に、私は大きな期待をしていますが、不安がないわけではありません。この方針に沿って行われる概算要求は、前代未聞の巨額なものになるはずです。2026年度の概算要求規模は約122兆円でしたが、2027年度は143兆円前後となり過去最大の規模となりました。それに市場がどう反応するか。「サナエショック」の可能性は否定できません。もしマーケットの信任が得られなければ、一気に政局になる可能性もあります。そこは、注意深く見ていく必要があるでしょう。

こうした懸念点はありますが、私は、日本は今後も成長するとみています。日経平均株価も、まだまだ上がるでしょう。骨太の方針をはじめとした一次情報に当たって自分で“推し株”を選び、投資することで、日本の社会をよくしていきましょう。

(構成=大井明子 撮影=キッチンミノル)