ソニー創業者・盛田昭夫氏の忘れられない言葉

――日経平均株価が4万円台を超えました。「失われた30年」といわれてきたわけですが、どう見ていますか。

日本はチャレンジをしてこなかったのだと思いますね。

僕はね、1970年代、ソニー創業者の一人である盛田昭夫さんととっても親しかった。盛田さんが常に僕にいったのは「ソニーという会社は世界中のどこもやっていないことにチャレンジするんです」ということでした。3回、4回と失敗するかもしれない。だから失敗する覚悟を持たなければいけない。

そうやってチャレンジをしてきたために、1980年代、日本はどんどん成長して、経済は世界一になった。ところが、日米構造協議で貿易不均衡だとアメリカに責められて、1990年代以降、政治家も経営者もチャレンジをしなくなった。経営者たちは「失敗しない経営」を打ち出した。それはチャレンジをしないということです。

田原総一朗氏
撮影=遠藤素子
失敗を恐れ、テレビ局にとどまっていたら、いまの田原さんはいなかったかもしれない

アメリカのやっていることをミニチュアでより安く作るということばかりするようになった。アメリカの真似だから世界への輸出も伸びない。働く人の給料は上がらない。それで日本はダメになったと思いますね。

最期の瞬間までジャーナリストであり続ける

――この4月、90歳を迎えられます。

こんなに長く生きるとは思わなかった。

――80歳になったとき、「『朝生』本番の討論中にそのままぽっくり逝けたら本望です」とおっしゃっていました。

いまもそう思ってますよ。どこまでつづけられるかだね。やっぱりつづけたいと思っているんです。

まず、言論の自由を守るということ。言いたいことは全部言える世の中でありつづけることです。そして、日本の政治に緊張感がないから、野党にもっと強くなれと言いたい。

――政治とカネの問題で自民党が揺れています。こういうときこそ野党がしっかりしろと。

そのとおり!

田原総一朗氏
撮影=遠藤素子
インタビューの最後はもとの「田原節」だった
(聞き手・構成=ノンフィクション作家・樽谷哲也)
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