次は4つ目のポイント。ロボアドに適した投資期間です。表をご覧ください。見慣れない言葉が並んでいるかもしれません。簡単に説明すると、「シャープレシオ」は、このポートフォリオの投資の効率性、「時間加重利回り(TWR)」はファンドマネージャーの腕を比較する利回り、「金額加重利回り(MWR)」は、その資産をいかに上手に運用できたかということを評価します。また「損益率(ROR)」は投資した元本がどれだけ増えたかという単純な数字をあらわしています。表内のTWR、MWR、RORは、記載の投資期間に私が行ったキャッシュフローの実績です。

【図表】AI投資 実績比較

その下のグラフは、私自身が研究のために使っているロボアドのうち、あるひとつのロボアドを使って、2018年5月から今年2月まで、毎月1万円ずつの投資をロボアドに任せたときの、実際のポートフォリオに基づくシミュレーションです(手数料などは含まない)。

【図表】TH社のポートフォリオと株式ETFでの積み立ての比較

紫の折れ線は、米国の代表的な株価指数であるS&P500に連動する上場投資信託(ETF)で運用した場合の資産額、ピンクの折れ線はロボアドのポートフォリオで運用した場合の資産評価額をあらわしています。2つの線はほぼ重なり合って動いていて、投資せずに毎月1万円ずつ積み立てた場合の元本額より、はるかに多くのリターンを得られていることがわかるでしょう。またオレンジの折れ線であらわした全世界の株式に投資ができるETFと比べても、この期間のリターンは上回っていました。

ちなみに私の場合は、このロボアドが提供するいくつかのコースのうち、もっともハイリスクハイリターンのものを選んでいます。そのため、投資信託のポートフォリオは債券などを加えない株だけの構成となっています。

ロボアド投資は人間に勝てるのか

グラフでもわかるように、ロボアドと投資信託の折れ線は、最初は元本を割ることもあったものの、ほぼ同じような動きを見せています。

とはいえロボアドのほうは、世界の株に分散して投資しているところが強みです。国内株の指標に連動した投資信託は、国内で何かがあった場合、総倒れになる可能性がありますが、ロボアドは世界の株に分散させることで、何かあったときのリスクをヘッジすることもあるからです。もし自分の手で、同じように世界に分散した十何本もの投資をしようとすると、管理にはかなりの手間がかかります。一方これを任せられるのが、ロボアドのいいところといえるでしょう。

ここでグラフに目を戻すと、ロボアドの運用したポートフォリオ(分配金を再投資しない場合)と、普通に購入してほったらかしにした投資信託は、分配金や手数料を考慮しないで比較した場合、6年間で同じ成績という結果になっています。ロボアドの手数料は、通常の投資信託の手数料と比べると高いことも多いので、長期になればなるほどロボアドに任せずに、投資信託を普通に持っていたほうがおトクになる可能性が高そうです。