グミ市場が急速に拡大し、スーパーやコンビニでも売り場を増やしている。流通科学大学の白鳥和生教授は「チョコレートやクッキーよりも、ヘルシーなイメージがあり、選ばれるようになっている。また若者のコミュニケーションツールにもなっている」という――。

※本稿は、白鳥和生『グミがわかればヒットの法則がわかる』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

フルーツの形のグミを手に持った女性
写真=iStock.com/Liudmila Chernetska
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「グミを食べるシーン」がコロナ禍で一変

筆者は集中して原稿書きするときなどになんとなくグミを口にすることが多い。読者の皆さんはグミをいつ、どんなシーンで食べていますか。有力メーカーの担当者は「コロナ禍でグミの喫食シーンが広がった」と口をそろえる。

グミが生活者から支持されている理由は様々だが、市場拡大、特にガムの市場規模を上回った背景にはコロナ禍の影響が無視できない。

具体的には、コロナ禍の外出自粛、マスク着用によって、ガムやタブレットが担ってきた「口臭防止」という需要が減り、「口寂しさ」を紛らわす需要がグミに流れてきたこと、さらにオフィスや学校、移動中などに持ち歩くだけでなく在宅時(家庭内)でもよく食べられるようになった、という2点が挙げられる。

新型コロナウイルスは、我々の暮らしや経済を大きく揺さぶった。日本私立歯科大学協会が2020年に実施したアンケートによると、マスクをするようになって「自分の口のにおいが気になるようになった」人が39.4%いるのに対し、「口臭を気にすることが減った」人も25.4%にのぼった。

また、食事のデリバリー、ネットショッピング、リモートワークなど、ライフスタイルや価値観も変化した。国土交通省「テレワーク人口実態調査」によると、2020年度にテレワークを実施した雇用者は全国で23.0%にのぼった。食の世界でも在宅時間が増えて自宅で食事する「内食」需要が盛り上がり、家族そろって食卓を囲む機会が増えたり、デリバリーやテイクアウトが当たり前になったりした。