「ツタヤさんのほうがお金がかかっていてキレイですよ」

1978年生まれの遠藤が社長になったのは東日本大震災の後、2011年11月だ。就任後、ゲオのメインビジネス、ビデオレンタルのマーケットは縮小した。レンタル映像ソフト市場は2018年には1542億円だったが、2022年には約3分の1の572億円まで減った。ビデオレンタル業の加盟店自体もまた減少した。

レンタル映像ソフトのマーケットが縮小した理由は明確だ。若い層を中心にレンタルやセルから配信サービスに移ったのである。

一方で、セカンドストリートが行っているリユースの市場は伸びている。2017年に1兆9932億円だったのが2021年には2兆6988億円になった。コロナ禍では停滞したが、その後は伸びている。

【遠藤】ゲオは1986年にレンタルビデオ店からスタートしました。ゲーム、ビデオ、CD、DVDといったホームエンターテイメントであり、かつ著作権のあるコンテンツを売買、レンタルするビジネスを直営でやってきたわけです。TSUTAYAさんもまた似たような商品をやっておられます。しかし、TSUTAYAはフランチャイズ店がメインです。外観、店舗の内装といったものはTSUTAYAさんのほうがお金がかかっていてキレイですよ。

ゲオホールディングスの遠藤結蔵代表
撮影=西田香織

外観や内装よりも、値段で勝負する

【遠藤】私たちは創業当初から店の立地、内装にはそれほど投資してきませんでした。それは取り扱っている商品の性質からです。

映像ソフトは値段、内容は一緒です。隣の店舗で買った『ドラえもん』のDVDのほうがゲオの店舗のそれよりも面白かったというクレームはいただいたことはありません。内容が同じですから、お客さまにとっては響くのは値段ではないか、と。そこで、値段を少しでも安くするため、店の外観への投資は極力、抑えたのです。

本社近くにあるゲオ大塚駅南口店。棚の手前には懐かしのCD-Rや、DVD鑑賞のお供にポップコーンも売られていた
撮影=西田香織 
本社近くにあるゲオ大塚駅南口店。棚の手前には懐かしのCD-Rや、DVD鑑賞のお供にポップコーンも売られていた

もし、私どもがフランチャイズオーナーの店を展開するのであれば、オーナーにいかに投資をしてもらい、さらに、その先にいるお客さまに喜んでもらうかを考えてしまう。

すると、ある程度は投資をしていただくことになります。私どもは外観、内装よりも商品の値段を安くしてお客さまに喜んでいただくことにしました。そこで結果としてゲオの店のほうがTSUTAYAの店よりも駅から遠く、見劣りするものになってしまったのです。

さらにいえば、本社にもお金をかけていません。本社は名古屋市の郊外で、東京本社は都心ではなく、大塚にあります。本社の外観、内装にもお金はかけていません。