「ユーズドインジャパン」を世界に売っていく

【遠藤】その時に見た古着店は従来からあったビンテージ専門ではなく、商品の幅が広い店でした。そのチェーンは全米で50軒ほどの規模でした。その後も調べを続けたら、アメリカのリユース業界にはガリバーがいないとわかったのです。さらに、グローバルでもガリバー的存在の企業がないとわかりました。

理由は、服飾はリユースの前に洗濯をしたり、プレスして畳んだりと煩雑な作業が付いて回るので、大規模でやるには簡単ではないからでしょう。今、私たちは米国に31、台湾に26、マレーシアに16、タイに1店舗あります(2023年12月末時点)。

アメリカ、台湾、タイは基本的に地産地消です。つまり、海外のお客さまが品物を持ち込んできたものをその地域のお客さまが買う。マレーシアは違います。日本で買い取りした品物で、日本で売れなかったものをマレーシアへ持っていって、先方で売る。メイドインジャパンでなく、「ユーズドインジャパン」と呼ばれて人気になっています。マレーシアでは今のところは現地のリユース物は引き取っていません。

他にも海外ルートはあります。例えば日本で引き取った携帯電話はドバイからヨーロッパへ送る。画面が割れたスマホは日本では人気がありません。1回直したものは日本ではダメですが、ヨーロッパの方はあまり気にしないのです。

シミがひどいものを断っているうちは「成功」ではない

極端なことを言えば、画面が割れたままのものでも売れていく。向こうでは「スマホの画面替え」という商売が街中にいくらでもあるので、そこで替えてまた使う。ですから、画面が割れたままのものでもセカンドストリートでは引き取っています。ただし、ジャンク品という分類ですけれど。そして、日本のお客さまにはお出ししていません。

ジャンク品のケースも含めて、リユース業では出口を増やすのが大きな仕事のひとつです。衣服でも破れている、シミがひどいといったものを持ってこられる方がいて、今は引き取れないのですが、いずれはそういうものも無料で引き取って、そして再生して資源にするといったこともやっていかなくてはいけないと思っています。

ゲオホールディングスの遠藤結蔵代表
撮影=西田香織

社会的な意義を考えると、そこまでやっていないわれわれが「リユース業で成功した」とは言えないのです。売り上げを上げることだけがリユース業としての成功とは私は思っていません。やらなきゃいけないことはいくらもあります。

売りに来た方からの品物は、高く買わねばならんと思っています。それは、私たちにとっては売りに来た方も買いに来た方も両方ともお客さまなんです。ですから頭を下げて、なるべく高く買い、売る時はなるべく安くする。たくさん回転をさせていく。高く買って安く売るのが正しい方向性です。しかし、それだと利益率が下がる。そこで、ローコストで運営していく。