片手間でやればビジネスは失敗する

【遠藤】前述しましたけれど、ビデオレンタルを始めた頃から、われわれは「この商売はいつまで続くのだろうか」と危機感を持っていて、それで総合リサイクルショップに進出したのです。それでもすぐにうまくいったわけではありません。進出したものの、失敗してはやめるという繰り返しでした。思えば、その頃はたくさん失敗しています。

当時はまだビデオレンタルが伸びていましたから、そちらに注力したわけです。リユースは片手間になってしまったんですね。やはり、ビジネスは片手間ではダメです。集中しなければうまくいきません。

リユース事業は2002年から本格化しました。北海道の「そうご電器」という会社が民事再生になりまして、そこのチームがやっていたリユースショップを引き継ぎました。そこに四国の香川県で始まった総合リサイクルショップ「2nd STREET」が2010年に加わりました。ただ、香川県の会社はもともとは古本業だったり、セルフのさぬきうどん店だったりしましたから、今の形のセカンドストリートになったのは私たちが引き継いでから以降のことです。

ゲオホールディングスの遠藤結蔵代表
撮影=西田香織

「ひょっとしたら会社がなくなるんじゃないか」

【遠藤】リユースの事業は私たちが伸びているというより、業界の規模が大きくなっているのです。ニュースサイトの「リサイクル通信」のデータは2009年から始まっていますが、その時からずっと右肩上がりです。ただ、2012年、2013年あたりは少しへこんでいますが、それは東日本大震災の影響でしょう。

2013年、メルカリが設立されます。その前からヤフオク(1999)さんがありました。メルカリさん以降、CtoCのリユースが大きく広がっていったと思っています。

ただ、リユース業界が進展した底流にあるのはSDGsの空気ではないでしょうか。

ゲオ店舗ではレンタルDVDのほか、スマートフォンの中古品も取り扱っている
撮影=西田香織
ゲオ店舗ではレンタルDVDのほか、スマートフォンの中古品も取り扱っている

「もったいない」、「捨てるより売りに行ったほうがSDGsだ」といった風潮です。子どもたちは学校でリサイクル、リユース、リデュースを教わります。子どもが学校で教わって帰ってくると、家庭でも、「そうかSDGsか」と考えるようになります。時代がそういう潮流になってきたのです。加えて、可処分所得が増えていないこともあります。景気のいい人はいますけど、可処分所得は増えてない。上手にお金を使う生活者が増えているのでしょうね。

セカンドストリートはコロナ禍では大苦戦でした。

私自身「これはひょっとしたら会社がなくなるんじゃないか」と思ったこともありました。あの頃、みなさんが外出されないものですから、どうしても服を買うことがなくなります。私どもは服と服飾雑貨に強いリユース業なので、非常に苦戦しました。